超私的解説な漢方処方解説～防風通聖散の誤用例～
新年一発目は漢方です。皆さんもよくご存じの防風通聖散です。この処方は市販薬（OTC)としても有名で、なかでも小林製薬さんのナイシトールZのCMは一度はご覧になったこともあるもではないでしょうか？「燃やす！と出す！だから痩せる！」という例のやつです。
便秘気味で内臓脂肪の多い人向けの薬というのはあってはいるのですが、実際に飲んでいる人は防風通聖散が効果がなさそうな人が多いです。その一例をご紹介します（※患者様の同意を得ております）
Aさん女性は、漢方とは関係ない主訴で当院に来院。一通りの診察が終わった後「実は低体温で悩んでいる。漢方をやっていると聞いたんですが？」とのこと。冷え性は漢方の得意分野でもあり色々お話を聞いていると例の防風通聖散を飲んでいるとのこと。便秘がひどいとのことですが、「やっぱり痩せたい」という思いもあるようでした。防風通聖散は大黄が入っているので便秘には効果がありますが、黄笒や石膏などが入っていることからわかるように強力な清熱作用があります。特に筋肉質でもなAさんが飲んでいてもそりゃ冷えるよね？という処方です。
防風通聖散は日本漢方でいうところの「いわゆる実証」の人が使う薬であり、色黒で汗かきで太鼓腹で便秘気味の人が飲む薬です。CMでは孤独のグルメでおなじみの人がやっていますが、あんな華奢な人が使う薬ではありません！個人的には新日本プロレス所属の真壁刀義選手にCMをお願いしたいです。
Aさんはというと、防風通聖散をやめてもらい体を温める漢方薬に変更し経過をみているところです。
痩せたい！という思いは皆さん共通のモノだと思いますが、飲んで痩せるのは毒だけです。防風通聖散をちゃんと使えば素晴らしい薬ですが、誤用例があまりにも多いので今回ブログに書かさせて貰いました。
029-248-7087