今中先生一周忌に想う
昨年7月28日に今中先生が鬼籍に入られました。思い返すとあっという間の1年でもあり、長い1年であったような不思議な感覚です。今中先生との出会いなどについては以前のブログで書いたので割愛しますが、本当に惜しい人をなくしました。
漢方の世界には口訣といって先人の言葉をまとめて教科書みたいにする習慣があります。今中先生との会話やラインのやりとりは半分はゴルフ関係でしたが、もう半分は漢方の相談でした。その中でも印象深い言葉を書き残してみたいと思います。
「先生、今の日本漢方は五臓六腑を軽んじてるからあかんのよ」
漢方には診断に相当する「証」というのがあります。いろいろな診断方法があるのですが代表的なのが「気血水」という物差しです。気虚、気鬱、気逆、瘀血、血虚、水毒の6つで病態を表します。院長も最初は気血水から入ったので、証=気血水で表すことがほとんどでした。今中先生の教えを受けるようになってから五臓六腑の概念を取り入れるようにしており、今中先生がこだわっていた「補土生金=脾を補い、肺を助ける」治療を実践できるようになりました。例をあげると副鼻腔炎に対して辛夷清肺湯で直接治しにいくのではなく、黄耆建中湯でゆっくり治していくといった具合です。
「花粉症はⅠ型アレルギーを起こす邪が原因なんよ」
花粉症の原因としては寒邪とか風邪(ふうじゃって読みます)とかいろいろ言われておりますが、今中先生的にはそんなんじゃなくて、別の概念が必要と考えていたようです。今中先生の花粉症(アレルギー性鼻炎)の治療方法は院長も初期からかなり参考にしており、虎竜湯(=五虎湯+小青竜湯)は伝家の宝刀として使わさせて頂いております。
10月には今中先生の大好きだった日本耳鼻咽喉科漢方研究会がまた開かれます。「?」と思うような演題には容赦なく質問していた今中先生がいない研究会が2回目です。去年は流石に寂しかったです、やっぱり。でも皆先生のこと忘れてないよ!遠くの空から見守っていてくださいね、先生!!