OTC類似薬が保険診療から除外!?
先日の閣議決定でOTC類似薬が保険診療から外されることが決定されました。まだ情報が錯そうしておりますが、ようはアレグラなどドラッグストアで買える薬品は医師からの処方箋ではなくドラッグストアで自費で買ってね!ということです。
一応「こどもや慢性疾患を抱えている人、低所得者には配慮する」とは記載はされていますが、2026年からこれが実行されれば日本の医療としては一台改革となります。リストを見ると(保険医新聞の記事から)、アレグラ、クラリチン、タリオン、ザジテンといった抗ヒスタミン薬、フルナーゼ点鼻、鎮痛薬であるロキソニン、上気道感染症で頻用処方されるカルボシステインが入っており、耳鼻科狙い撃ちですか?とも思える内容。これが実行されると開業医に患者さんが来なくなり経営が…なんて話にもなりそうですが果たして。当院は実はあまりアレグラ、クラリチン、タリオンは出していないのでさしたる影響はなさそうですが、カルボシステインは月1万錠以上処方しているのですごいことになりそうです。
危惧しているのは受診抑制ではなく、純粋に患者さんの負担。たとえば副鼻腔炎で受診して何かしらの抗生剤+カルボシステインというのは耳鼻科のよくあるパターンですが、2026年以降はこういう会話になるかもしれまんせん。「抗生剤は処方しますが、カルボシステインは出せません。ドラッグストアで買ってください」と。ちなみにカルボシステインはムコダインとしてドラッグストアで販売されており、価格はAmazonでみたところ20錠で2071円。カルボシステイン(=ムコダイン)は1日1000mg~1500㎎成人の場合は出すので、20錠だと7日から10日しかもちません。慢性副鼻腔炎の場合、当院では1000㎎を2か月ほど投与することが多いのですが、それが自費になると2071円÷2×56日分=57988円!!副鼻腔炎を治すのも恐ろしい額になります。まぁカルボシステイン必須ではないのですが…。後鼻漏とかでムコダインがないとつらい人たまにいるので、そういう人はどうするんでしょうか…。
あとは扁桃炎できて、抗生剤とか抗炎症薬を処方する際に一緒に解熱鎮痛薬としてロキソニンだしますが、それもドラッグストアで買ってください!という流れになります。
徐々にアメリカのようなセルフメディケーションに持ち込みたさそうな雰囲気ですが、日本人はえぐい額の社会保険料を払っている国民などで納得しがたいですよね。自分か子供のころ社会でならったのは北欧は高福祉高負担、アメリカは低福祉低負担、日本は中福祉中負担でした。このままだと日本は低福祉高負担という一番いけていない国に転落しそうです。維新の会のYouTubeをみると「医療費を1兆円削減できる」と書いてありますが、その分自己負担になるだけで「社会保険料+税金で払っている医療費が1兆円削減できる」だけなんですよね。
医療費削減は喫緊の課題であり、そちらに手を付けなければいけないことは間違いではないです。ほかにいろいろやらなきゃいけないことはありそうですよね、きっと。いろいろ書きたいのですが炎上しそうなのでやめておきます(笑)。
もし、OTC類似薬の保険診療外しに反対!という方はぜひ選挙に行って自分の意思を示さないとダメです。選挙に行かない人は文句言っちゃダメ!これは鉄則ですね。
