超私的解説な疾患解説~急性中耳炎~
ここ最近急性中耳炎が増えてきました。プールが始まったのが多少は関係しているのかな?とも思っていますが原因ははっきりしません。まず急性中耳炎は何故起こるか?というと直接細菌やウイルスが耳に入るのでは無く、鼻や喉についた細菌やウイルスが耳管を通じて耳に入るのが普通です。子供は大人に比べて耳管が短く水平についているため解剖学的に中耳炎になりやすいということがあります。
では、治療法は?というと急性中耳炎というのはちゃんと診療ガイドラインがあります。それによると軽症例の場合は抗生剤などは投与せず3日間経過観察し再度評価するという風になっています。これは医学的には正しいとは思うのですが実臨床ではかなり無理があるガイドラインであり、耳が痛いと泣いている子供に対して「軽症だから3日後又来てね!」とはなかなか言いづらいです。そもそも軽症が少ないと言うこともありますが実臨床では中等症以上のガイドラインに準じて治療している耳鼻咽喉科医が多いのではないかと推察いたします。
中等症になると抗生剤を3~5日処方し、再評価となっています。これはかなり大事なことで有り最初に出した抗生剤が効いているか?を3~5日後に評価する必要があると言うことを表しています。当院では3日後というのはこれまた現実的ではないので5日後の受診をお願いしています。「お願い」と書きましたがこれは「お願い」というよりも「指導」に近いレベルです。外来でもおそらくほぼ全員の親御さんに「中耳炎なので抗生剤をだします。5日後必ずきてください」と言っているはずです。中には「5日後?!忙しくてこれない」とか「5日後?!子供が耳痛がってなきゃ来なくもよいのでは?」とか思う人もいるでしょう。最終的に来る来ないの判断は親御さんに決定権があるので何ともいえないのですが、「耳が痛くない=治っている」は必要条件ではありますが十分条件ではありません。耳が痛くなくても鼓膜発赤が強かったり、滲出性中耳炎に移行していたり色々あります。5日後の受診をせず、その後耳痛などで再診し、重度の中耳炎だったり滲出性中耳炎だったりすると治療に数ヶ月かかった!なんてこともあります。
ここからはかなり私見なのですが、医師として抗生剤を出した以上、特に小児については治ったかどうかを確認する責務があると思っています。未就学児についてはかなりそれを意識して診療をしているので抗生剤をだしたときには「○日後、かならず来て下さいね!」と言うようにしています。
しつこいようですが、来る来ないの決定権はこちらにはありません。ただ余計な合併症をつくらない、耐性菌をつくらないことは特に小さいお子さんでは重要なことだと思っております。通院が面倒なのは重々処置しておりますがご理解頂ければ幸いです。