ちゃんと診察・ちゃんと診断~面倒くさい医者ですみません!!~
今回のブログは院長の診療に関する思い(半分は愚痴?)です。当院に通院されている方、これから通院してみようかな?と思っている方全員に読んで貰いたいブログです。最後までお付き合い頂ければ幸いです。
コロナをはじめとする各種感染症が猛威を振るい、発熱・咽頭痛・咳といった症状で受診される方が後を絶ちません。患者さんからのお話を聞くと「○○医院では抗原検査をやったあと、医師の電話診察があり薬をもらった」ということをよく耳にします。患者さん側からすれば「コロナを否定して貰ってとりあえず薬を貰えればOK」というニーズがあり、医療者側も院内感染のリスクをなくすというメリットがありwin-winのようなものです。これも新しい診療スタイルであり、良いと思っています。
一方当院では誰がなんと言おうと対面診療にこだわっています。例えば咽頭痛ひとつとっても、それが風邪なのか?抗生剤を必要とするような扁桃炎なのか?急性喉頭蓋炎など入院を必要とするものなのか?はたまた腫瘍なのか?を電話診察で判断する技量は自分は持ち合わせていません。先日も咽頭痛、嗄声を主訴に来院された方が進行した咽頭癌でしたというケースがありました(急患対応して頂いた水戸医療センター耳鼻咽喉科の先生方には大変感謝しております)。声は出てましたが窒息寸前であり、あれが電話診察だったらと思うと恐怖でしかありません。
ただ対面診療もよい面ばかりではありません。当院では3日以内の発熱患者はプレハブでの診察としていますが毎回ガウンを着て手袋をして防護マスクつけて器具をもって移動するのは皆さんが思っている以上に手間と時間がかかります。結果として人数制限をせざるを得ず、電話診察のように大人数に対応できないというデメリットがあります。ただ耳鼻咽喉科医として、発熱、咽頭痛などの急性期疾患を自分の目で診察しないと気が済まないのでこのような体制にしております。このやり方が絶対正しいか?と言われるとそれは分かりませんが、なのはな流の診療と思っています。
ここからは少し話がややこしくなりますが、最近の傾向として「患者さんのニーズ」と「こちらが提供したい医療」にずれが生じているのでは?と思っています。例えば患者さんが「症状が落ち着いているから薬だけください」とか「風邪が治らないから抗生剤ください」とか言う場合があります。こちらとしては落ち着いているかどうか?は医師の診察の元決定されるべきと思っていますし、抗生剤を出すかも診察の結果次第だと思っています。そこで「じゃあ薬だけ」とか「じゃあ抗生剤出しときますね」と言えれば楽なんでしょうけど・・・自分はできないんです、すみません。
タイトルにもあるように「ちゃんと診察・ちゃんと診断」したいんです。だから問診もかなり薬歴など含めて詳しく聞きますし、診断のために当院で可能な限りの検査を行っているつもりです。問診がかなりしつこいこともあるので、これはこれで批判の対象になっているのも知っていますが、医療上必要なことと思っています。
おそらくですが・・・一部の患者さんにとっては「結構面倒くさい医者」です。「とりあえずこっちが欲しい薬だしてくれればいいんだよ」的な患者さんとはあまり相性が良くないと思っています。その代わり来てくれた患者さんには全力で診察診療にあたります。「前の病院では治らなかったけど、なのはなに来たら治りました」という患者さんの言葉は何よりの励みの言葉です。その言葉を一つでも多く聞けるよう本日も外来診療頑張ります!