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超私的な解説~茨城県でも救急搬送時に選定療養費の徴収開始~

  • 院長ブログ
  • 2024/11/12
三重県松阪市に次いで12月2日より茨城県全体で救急車を利用した際に選定療養費が徴収されることが決定しました。あくまでも救急車が有料化になるという単純な仕組みではなく、特定の医療機関において緊急性が認められない場合という条件付きです。特定の医療機関はいわゆる「大きな病院」であり水戸周辺でいうと、水戸協同病院、水戸赤十字病院、水戸済生会病院、水戸医療センター、茨城県立中央病院、日製ひたちなか総合病院などです。
緊急性が認められる、認められない場合というのは具体的には県のHPからではこんな感じです。
選定療養費の目安
認められる場合は非常にわかりやすいのですが、問題は認められない場合がある症例。これは明確に線引きすることができず、医師の判断というのが最終的な要件になりそうです。医療者側の常識と、一般の方の常識にも乖離はあると思います。
たとえば耳鼻科領域でいうと、「鼻血がとまらないので救急車呼んだ」なんていう事例をよく聞きますが、耳鼻科医的には「?」という感じです。よほどのことがなければ鼻血で死ぬことはないですし、鼻を圧迫して止まらなければ自家用車やタクシーで病院にくればよいだけと考えています。少なくとも救急車を要する事案ではないのではと思っています。ただそれは鼻血をみなれている耳鼻科医の意見であって、ほかの科のドクターや一般の方とは意見が異なってくるかもしれません。要するに何が言いたいか?というと同じ疾患・病態でも「緊急性を要する、要さない」判断が医師の基準により分れる可能性があるということです。
まぁ、大半の方は選定療養費を徴収されても救急搬送というサービスを利用したのだから、、、ということで文句を言う人はいないと思いますが。文句を言う人はある一定数いると予想しています。医師は「緊急性ないから選定療養費よろしく」で終わるかもしれませんが、会計時にもめるということはあるかもしれませんね。あとは「救急電話相談に相談したら救急車呼べって言われたのに、緊急性がないとは何事だ!」とかいう人とか。救急電話相談も問診だけの対応なので、怪しいと思ったら「救急車呼んでください」というケースもあるのでは?と思っています。「救急車呼ばなくていいって言われたのに、実は重症だったじゃないか!」とかでクレームつけられるのは怖いですからね。
これはあくまでも相当個人的な意見ですが、一律選定療養費徴収のほうがわかりやすいのでは?と思っています。そうすると「救急車を呼ぶのを躊躇するひとが増えるから危ない」という意見が必ずでますが、救急車が一度出動するとコストは40000~50000円かかるといわれています。7700円程度で済むならいいんじゃない?という考えは間違いでしょうか…。距離にもよりますがタクシーより安いかもしれませんよね。
県HPによると県内の救急車の出動件数は、平成20年の103,020件から、平成30年は134,819件と、この10年間で約3万2千件(約31%)増加しています。その一方で、救急車の利用者の約5割が入院の必要がない軽症の患者です。
1日あたり369件であり、1時間あたり15件、4分に1台出動しています。この数字をみて皆さんどう思われますか?救急現場がひっ迫している今、医療者も患者さん側もいろいろ考えなくてはならない、そんなときだと思っています。

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