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今話題のフルミストについて調べてみた!

  • 耳鼻科豆知識
  • 2025/10/18
インフルエンザが流行期に入り学級閉鎖のところもちらほら出てきています。コロナが下火になった矢先なので、感染症を扱う耳鼻科にとっては忙しい日々が続きそうです。
さて、今回はインフルエンザの予防接種についてのお話です。従来の注射のインフルエンザワクチン(HAワクチン)と、最近でてきた鼻から噴霧するワクチン(フルミスト)の違いについてまとめてみたいと思います。
まずインフルエンザワクチンの接種における主たる目的は、重症化のリスクを低減することにあります 。ワクチン接種は、肺炎や脳症などの重篤な合併症を抑制し、結果として入院や死亡のリスクを大幅に減少させることが、国際的な医学的根拠によって証明されています。HAワクチンは、インフルエンザウイルスを不活化し、その表面にあるHA(ヘマグルチニン)抗原を投与する「不活化ワクチン」です 。このワクチンは、主に全身の血液中を循環するIgG抗体の誘導を目的とし、全身的な防御を担います 。HAワクチンの接種対象は生後6ヶ月以上と広く 、長年にわたる使用実績に基づく安全性のプロファイルが確立されています。
一方、フルミストは、弱毒化した生きたウイルス株を用いる「弱毒化生ワクチン」です 。投与は上腕への注射ではなく、両鼻腔に各0.1mlずつスプレー噴霧することで行われます 。この経鼻投与型ワクチンの最大の利点は、針穿刺の必要がなく、注射部位反応も発生しないため、被接種者、特に針恐怖症を持つ小児の心理的・身体的負担を大幅に軽減できる点です 。

フルミストの作用機序は、HAワクチンとは一線を画します。

  1. 局所免疫(IgA)の誘導: インフルエンザウイルスが最初に侵入してくる部位である鼻粘膜に直接作用し、IgA抗体をあらかじめ産生させ、ウイルス侵入を阻止しようとします 。この局所抗体応答は、自然感染後に誘導される免疫と類似していることが期待されます 。

  2. 全身免疫(IgG)および細胞性免疫の誘導: 鼻粘膜での応答に加え、HAワクチンと同様に全身の免疫も活性化し、IgG抗体を産生します。さらに、液性免疫(抗体)だけでなく、ウイルス排除に重要な細胞性免疫の誘導も期待されます

HAワクチンが全身性IgG抗体を主として誘導するのに対し、フルミストは局所IgA抗体と全身性IgG抗体の二重の防御機構を構築するため、注射型よりも効果がやや長く続くと考えられています。
接種スケジュールと利便性の点では、フルミストはHAワクチンに対する明確な実務的な優位性を持っています。フルミストの対象年齢(2歳〜18歳/19歳未満)においては、HAワクチンが12歳以下で2回の接種を必要とするのに対し、フルミストは1回接種で完了します。ただし、免疫不全の方、妊婦、重度の喘息のかたは禁忌です。

フルミストの利点は接種が1回、効果が期待される期待されることです。一方で費用が8000円程度と高額(HAワクチン2回分相当)なのと、禁忌事項があることです。当院ではまだ採用しておりませんが、来期以降様子を見ながら導入も検討しております。

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