超私的な疾患解説~気象病~
雨はあまり降らないですが梅雨入りしたこの時期、増えてくるのが気象病(気象痛)と呼ばれるモノです。ワイドショーなどでも盛んに取り上げられてるため、ご存じの方も多いのではないでしょうか?
低気圧を感じるセンサーがあるのが耳だから、耳のマッサージとかツボを押すとか色々対処法が出ております。それはそれで一つの自衛手段なので良いと思いますが、耳鼻科をやりつつ漢方をやっているものとしての考えを少し書きたいと思います。
気象病の本態は自律神経のバランスの乱れです。具体的には副交感神経の過剰反応により血管の拡張や粘膜の浮腫が起こり頭痛や鼻炎、さらには喘息発作といった様々な病気を引き起こします。印象としては女性>>男性であり性差はあるように思えます。原因とすると女性には生理があり、男性には無いということと、あとは日常の生活習慣の違いです。女性に何故気象病が多いのかというと、個人的印象ですが冷えと運動不足が原因ではないかと思っています。現代人は男女とも運動不足の方が多いとは思いますが、根本的に筋肉量が男女では違います。それが最終的には血流障害につながっているのでは?と考えています。
当院でも気象病を主訴とした患者様が多く来院されます。そこで大事なのは薬オンリーの治療では無く生活習慣の改善です。運動不足の解消、カフェインの過剰摂取を避ける、体を冷やす食べ物を避けるといったものです。そこに漢方薬をうまく追加していくことで症状の改善が期待できます。
気象病の漢方薬というと五苓散が有名です。小林製薬さんからはテイラックという名前で出ています。水のバランスをとり頭痛などを改善してくれるとても良い薬ですが、これだけを飲んでいては問題の解決にはなりません。何故「水」のバランスが乱れるのか?をみつけその治療を行いながら、適宜「水」を排泄してく行程が必要です。当院でも五苓散はよく処方しますが「症状がつらくなったら飲んで下さいね」という扱いの薬とになることが多いです。
沖縄は梅雨開けしたようですが、関東地方はまだまだのようです。気象病で悩んでいる方は日常生活の改善とともに漢方の力を借りてみるのもいいかもしれません。